大阪と京都にあるカウンセリング機関(臨床心理士)/女性ライフサイクル研究所フェリアン。講演・研修、研究・執筆活動なども行っています。

「ありえない」を辞書で引くと、「そのようなものが存在するはずがない、そんなことが起こるはずがない、という意味の表現。そんなことがあってたまるものかという感情の表明などにも用いられる」と書かれている(実用日本語表現辞典)。

わたしが生まれ育った大阪では、「ありえへん」と言うが、あちらこちらでよく耳にする言葉のひとつだ。実際わたしもよく使う。そういえば特にこの1か月半、「ありえへん!」と思ったことが多かった・・・。

 

「ありえへん」その1

「え!?まさか・・・ありえへん!!」そう叫びそうになったのは、残暑厳しい9月の朝。

『まだまだ暑いな~、いつまで続くのかな、駅に着くまでにお化粧が全部剥がれてしまうわ~』と、思ったまさにその時、『え!?』『あれ!?まさか・・・』『あ!ありえへん!お化粧をするのを忘れた!!!』。なんと!わたしはお化粧するのを忘れて、スッピンで仕事(講演)に行こうとしていたのだ。58歳のスッピン、ありえへん!!

うつむき加減で歩きながら、『どうしよう』『なんで!?』『ありえへん…』と、頭の中で同じ言葉が何度も繰り返される。しかし一応女子、かろうじてアイペンシルと口紅は持っていたので、特急電車に滑り込み、化粧台で“丸書いてちょん”レベルのお化粧で応急処置。仕事が終わって、その後フェリアンでスタッフに会ったが、スッピンに丸書いてちょんのわたしを見て「いつもと変われへん」「全然わかれへん」との言葉。ビミョー、ありえへん。

 

「ありえへん」その2

その日は、朝から奈良県内の小学校で、CAP子どもワークショップ(キャップ=子どもへの暴力防止プログラム)を朝から夕方まで3ワーク実施し、仲間に自宅まで車で送ってもらい、大急ぎで着替えて京都市移動し、19時から21時まで京都市内の小学校で保護者向け講演会、という〝はしごで仕事“の日だった。

車で自宅に戻る途中、徐々に雲行きが怪しくなり突然のゲリラ豪雨。「え~、ありえへん!何この雨!?」と言いながらも、わたしは自分の力を信じて、雨が止んでくれることを祈っていた。というのもここ数年、わたしが講演・研修をする日は、なぜか大抵晴れるからだ。降っている雨も家を出る頃に止んだりして、長い傘を持って出かけることがない。

しかしこの日は、仕方なく大きな傘をさして駅に向かった。だがさすが!電車に乗る頃には雨は上がり、車内は空いていてのんびりした気分。ふと、車窓に目をやると、これこそ「え~~!ありえへん!!」と思わず声を上げるほどの、大きな大きな虹がくっきり!それも虹の両脚がしっかり見える大きな虹!!よく観れば2重!ご褒美をもらった気分♪

幸せな気分で京都駅に到着すると、京都市内で大雨警報が発令されているという情報が。『講演日に大雨警報!?ありえへん!』と思って会場に入ると、わたしが京都市内に入った後警報が解除されたとか。やはり、わたしは神がかり的な晴れ女と話しながら教頭先生に車で駅まで送っていただき、到着かという間際に突然気がついた。「あ!校長室に傘を忘れてきました・・・」今頃気が付くなんてありえへん!「大丈夫です、夜のドライブです」と、ありえへん失敗にユーモアで返してくださってほっこり。ありがとうございました♪

 

「ありえへん」その3

「今度の休暇、島根県に行けへんか?出雲大社に行ったことないし」と、ある日、単身赴任中の夫からメールが来た。『え!?旅行の誘い?ありえへん!』単身赴任中の11年間、いや結婚して31年間、夫の実家のある九州か赴任先以外に、旅行に行ったという記憶がない。まして、夫がわたしを旅行に誘うなんて・・・、ありえへん!と思いながらもとてもうれしく、出張で行き慣れた島根県、そそくさとプランを立て松江市、出雲市、石見銀山と、久しぶりに夫婦水いらす、2泊3日のフルムーン旅行を楽しんだ。いや~、でもホントありえへんことでした。

 

「ありえへん」その4

10月初旬、沖縄県に出張に行った際、宿泊させていただいたホテルの温泉「猿人の湯」http://www.yuinchi.jp/hotspring/には、なんと約500万年前と約5,400万年前の地層から湧出し、自然にブレンドされた太古の化石塩水が含まれているという。お湯は茶色くて、そういえばこれまで経験したことのない、なんだか不思議な硫黄ではなく泥のような香りがしたが、約500万年前~約5,400万年前のブレンド湯?ありえへん太古の温泉!!

そして仕事を終えた翌日は、以前から行きたいと思っていたガンガラーの谷http://www.gangala.com/tani/#tani01のツアーに参加した。ガンガラーの谷は、数十万年前までは鍾乳洞だった場所が崩れてできた太古の森。発掘調査から、約1万8000年前(旧石器時代)に生きていた港川人の居住区としての可能性が高いという。旧石器時代の人々が、今、わたしが立っているこの森で狩りをし、魚を釣ってこの場所に住んでいた!?ありえへん!なんて素敵な場所なんでしょ!

実はこの1か月半の間に、ここで紹介した他にも「ありえへん」ことがまだあった。そう、この年齢になると、日常生活の中で、自分にも周囲にも「ありえへん」と思うことが起こってくる。それは、ふしぎなことやうれしく楽しいこともあれば、辛く悲しい出来事もある。こうして、さまざまな「ありえへん」を経験し受け止めていくと、今自分が生きていることも、「ありえへん」ことの積み重ねなのかもしれないと思う。

(2016年10月)

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