幼児期逆境体験（ACEs）とは

幼児期逆境体験（Adverse Childhood Experiences：ACEs）とは、子ども時代に、心や体に大きな負担となる出来事を経験することを指します。
虐待、ネグレクト、家庭内暴力、家族の病気や依存症、離婚・別居など、子ども自身では対処しきれない出来事が含まれます。
幼少期は、心の発達が急速に進む時期です。
その時期に強いストレスや恐怖を繰り返し経験すると、不安、抑うつ、イライラ、自己否定感、人間関係の難しさ、慢性的な疲労感など、大人になってからの生きづらさにつながることがあります。
しかし、幼児期に逆境があったとしても、「必ず影響が残る」「生きづらさが変わらない」というわけではありません。
安心できる関係性や、サポートを受けることで、心は少しずつ回復し、新しい生き方を築くことが可能です。

こんなことで悩んでいませんか

• 自分を責めてしまうことが多い
• 感情が不安定でつらい
• 人が怖い、人間関係が疲れる、距離感が難しい
• 自己肯定感が低い、自分には価値がないと感じる
• なんとなく生きづらい
• 周りの顔色を過剰に気にしてしまう
• 我慢しすぎて限界になりやすい
• 自分の気持ち・本音がわからない
• 常に緊張していて休んでも疲れが取れない
• 楽しさや喜びを感じにくい
• 人に頼ることが苦手
• 嫌われるのが怖くて本音が言えない
• 人の言葉や表情に敏感に反応してしまう
• 褒められても素直に受け取れない
• 居場所がないように感じる

回復のために役立つこと

1. 安全な人や場所とのつながり
信頼できる人や場所との温かいつながりは、ストレス反応を和らげ、レジリエンスを高めます。
• 安心して話せる人や場所とつながる
• 感情を否定せず受け止めてもらえる経験をする
• 継続したサポートを受ける

2. 心身を整える生活習慣
ストレスにより乱れやすい自律神経を整えることが、回復の土台になります。
• 規則正しい睡眠をとる
• バランスのとれた食事を心がける
• 軽い運動（散歩、ヨガ、ストレッチなど）をする

３．体の感覚に気づく
強いストレスや不安によって、体の感覚に鈍感になったり、逆に過敏になったりすることがあります。体に意識を向けて、体がどんな状態なのか、どこが緊張しているか、どんな感覚があるかを丁寧に感じ取ることは、心身の回復を助けます。

・水を飲んだ時、水が胃にたどり着くまでの感覚を追う
・体の感覚を表現する語彙を増やす（ドキドキ、ギュッ、ほんわか…）
・五感を使う
・体のほんの一部でもいいので、比較的心地よい感覚のある部分に気づく
・体が心地よく感じる時間を持つ

４. 感情に気づき、表現すること
感情を「感じにくい」「表現できない」「感情が不安定」などの傾向が出ることがあります。また、感情を押し殺すことが習慣化し、気づかないうちに感情がたまり、突然爆発してしまう場合もあります。以下のような活動が役立つでしょう。
• 今の気持ちに目を向ける
• 安全の場で信頼できる人に語る
• 芸術的表現（絵・音楽など）を用いる

カウンセリングで大切にしていること

１．無理のないペースでの対話
まずは「今感じているつらさ」や「困っていること」を丁寧に扱います。
２．過去の体験の影響を整理
不安や怒り、関係のつまずきなどには、理由があります。
過去の体験がどのように現在の感情や行動に影響しているのか、一緒に理解していきます。
３． 日常生活を暮らしやすくする方法を身につける
感情のコントロール方法、ストレスケア、境界線の引き方など、日々の生活を楽になる方法をともに考えます。
４．トラウマからの回復に取り組む
幼児期逆境体験（ACEs）がトラウマとなっている場合も多く、トラウマに目を向け、そこからの回復に取り組みます。
５．自分らしさの育み
「自分には価値がある」「大切にされてよい存在だ」という感覚を育めるよう、長期的な視点で伴走します。

幼児期逆境体験（ACEs）による生きづらさは、必ずしも虐待などの体験だけではありません。どこの家庭にもあることだと思っていたり、はっきりとした気づきや自覚がないまま、なんとなく生きづらさを感じている方も多くいます。 このようなつらさは、自覚しにくいため言葉で表現することも難しく、周囲に助けを求めることもためらってしまいがちです。自分自身でも理由がわからず、他者にも理解されにくい――まるで真綿で首を絞められているような、静かで苦しい感覚が続くこともあります。

つらさを抱えたまま一人で頑張る必要はありません。
あなたの感じている生きづらさには理由があり、少しずつでも安心できる場所や人とつながることで、回復への道を歩むことができます。

フェリアン大阪・京都では、カウンセリングを通して、あなたのペースで自分らしく生きていけるようサポートします。