カウンセリング

不登校で悩んでいる方へのカウンセリング

フェリアン大阪・京都では、不登校で悩む方(学童期~思春期)、またその保護者の方のカウンセリングを行っています。

不登校には、子どもを取り巻く環境の変化、学校や教師との関係、友達同士の関係、学習など様々な要因があります。コロナ禍で学校への登校を巡る状況も大きく変わってきました。この大きな環境の変化についていけずに登校できなくなったお子さんもいることでしょう。昨今ではSNSのやりとりで誤解が生じたり、トラブルやいじめが起きたりしやすく、学校を離れても、同級生など既存の関係性から逃れづらくなっています。

子どもが学校に行けなくなったときは、親も焦り、不安に感じることでしょう。しかし、子どもを取り巻く大人の気持ちや態度は子どもに大きな影響を与えます。不登校はそれ自体がマイナスなイメージを持たれがちですが、ストレスから身を守る自己防衛や、新たな自分を生み出すための準備期間としての意味もあります。まずは親が落ち着き、子どもの声にじっくり耳を傾けることが必要です。そして、子どもが自分の気持ちや体の状態を話せるよう、サポートすることが大切です。

本人は行きたいと思っているのに、体が動かない等、そのギャップに苦しみ焦っていることも少なくありません。自分を責め、ますます状態が悪くなっている場合や、自分の不安やストレスを言葉にしにくい子どもには、まず、家庭が安心な居場所となるよう見守ることが、何よりのサポートとなります。

「休むともっと行きづらくなるよ」「ここで逃げたら負け」「頑張って行ってみようよ。みんな待ってるよ」などと親心から登校を促すことは、子どもの不安をあおることになりかねないので注意が必要です。

不登校に至った原因は、本人もよくわからない場合や、ひといちばい敏感な気質を持つ場合(HSC)、学校や家庭環境などの日常生活の変化が要因となる場合など、複合的な要因が絡んでいることが少なくありません。

子どもの不安な気持ちを受け止めて、不安を安心に変えられるよう、まずは子どもの声に耳を傾けましょう。その上で、子どもの状態に応じた声かけや半歩前に進むきっかけづくりをタイミング良くすることが大切です。

子どもの不登校をチェックするポイントとして以下のようなものが挙げられます。

不登校のチェックポイント

① どのように不登校状態になったか

学校に行ったり休んだりを長期にわたって繰り返している。
断続的に登校していたのが、連続して休むようになった。
ある日突然行かなくなった、など。

② 現在の状態

身体的症状があるか。
日常生活習慣が崩れていないか。(睡眠、食事、清潔)
家族とのコミュニケーションは取れているか。

③ 教師や友人との関係

学校へは行けないが友だちとは会っている。
家庭訪問時に担任に会える。
担任に直接会えないが、電話には出ることができる。

④ 家庭環境、家族の状態

親の子どもに対する養育態度(極端に過保護または放任など)。
家族が何か大きな問題を抱えている(父母の不和、借金、深刻な病気など)。

⑤トラウマとなるようなショックな出来事

いじめ、大切な人の死や別離、事件に巻き込まれた、不慮の事故の経験や目撃をしていないかどうか。

カウンセリングでは、なぜ子どもが学校へ行けなくなってしまったのか。子どもの不登校状態がどのように形成され、どのように維持されているかを整理していきます。そして、子どもが何につまずいているのか、課題が見つかれば、どのような対応をしていけばいいかを考えます。

それを明らかにするためには、子どもの心理状態がどのようなものであるかを理解することが役に立ちます。

子どもの不登校が続くと、親は心配や焦りから子どもに対して、「わがまま」、「小さいことを気にし過ぎ」、「甘えている」という風に感じたり、嫌なことを避けようとする態度に「どうして、もっと頑張らないんだろう?」と思ったりするかもしれません。

しかし、学校に行けなくて一番苦しんでいるのは、子ども自身であるということを忘れないようにしましょう。

不登校は学童期~思春期と幅広い世代に見られますが、特に思春期への理解を深めることは大切です。

思春期という時期は、悩み多き年頃です。なんだかわからないけどつらい、モヤモヤする、イライラするけれど、そういう気持ちをうまく伝えられないのが、この時期の特徴です。

思春期に見られる変化

①身体の変化

思春期の大きな特徴として、まず第二次性徴による身体の変化があげられます。背が急に伸びて大人っぽい体格になったり、男子は声変りをしたり、女子は丸みをおびた身体つきになってきます。この身体の変化というのは、自分の意思の力では、どうしようもないものです。そのように、自分の力ではコントロールできないことというのは、誰にとっても不安や動揺を与えます。

②心の変化

思春期の心の変化として、「人の目が気になる」というのがあります。小学校高学年ぐらいになると、やたら鏡を見るようになり、自分が他者からどんなふうに見えているのかが気になり始めます。自信が持てなかったり、自分が好きになれない時には、周りからの目も冷たく感じたり、否定されているように感じやすく、自己否定の気持ちが強くなります。

③親子関係の変化

思春期のテーマとして親離れという課題があります。子ども時代に別れを告げ、親から独り立ちしていくための第一歩を踏み始めます。そのために、子どもたちは、反抗を始めます。「自分はもう子どもじゃない。親から干渉されたくない。自分でやれる」との気持ちの一方で、「本当に自分の力でやれるのかな」という不安や「まだまだ甘えていたい」という気持ちの中で揺れ動いています。

不登校の背景には、この親子関係の変化が影響していることが多々あります。親が巣立とうとする子どもを手放すことができないでいると、それを敏感に感じ取った子どもが、上手く自立できず、不登校という形がとられることもあります。

④自分探し

思春期の子どもたちが親離れをしようとするときに、友だちとの関係は重要なものとなります。仲間との関わりを通して、「自分」に目覚め、「自分」をつくっていきます。思春期の発達課題に、アイデンティティの確立というのがありますが、自分探しと言い換えることもできます。

学校で自分探しをする仲間と出会えなければ、他のところでこれをしようとします。学校の勉強には興味は持てないが、それ以外に自分で追求したい世界があるという場合もあるでしょう。いわゆる非行仲間と集う子どもたちの不登校にも自分探しのテーマを見ることができます。その場合、ただ単に、不登校を責めるのでなく、その子が本当に自分探しを出来る場がそこにあるのかどうか、そうでないのならどこにあるのかを一緒になって考える必要があるでしょう。

このように、思春期は、身体も心も大きく変化して、揺れる時期です。体に関する問題、友だち関係における悩み、親子関係の苦しみなど、大人になる道のりには、様々な悩みが待ち構えています。

そんな悩みを多くの子どもたちは、友だちや親に相談したり愚痴ったり、アドバイスをもらったりしながら乗り越えていきますが、誰にも相談できず、一人で悩みを抱えてしまうこともあります。

友だちがいても「友だちに自分の暗さや弱みを見せたくない」と何の悩みもないように明るくふるまっている子もいます。親に聞いてもらいたいと思いながら、「親に心配かけたくない」「悲しませたくない」といい子を演じてしまうというのもよくあることです。

言葉にできないで溜まったストレスを、「うざい」「ムカつく」と人にぶつけたり、誰かをいじめたり、傷つけたりという形で出すこともあります。非行や犯罪という形であらわす場合もあるでしょう。一方、攻撃性が自分に向かうとリストカットや摂食障害などの自傷行為につながることもあります。

また、身体化として表現されることもあります。過換気症候群、過敏性大腸炎、自律神経失調症、円形脱毛症などの形で表現される症状を通じて、子どもたちは「こんなに苦しい。助けてほしい」と、大人へのメッセージを発信しているのです。

これらの心のサインの裏には、孤独や怒りや悲しみが隠されています。ですから、それらの行動の裏に込められた訴えに耳を貸さずに封じ込めたり、無理やり止めさせたりしても、根本的な解決にはなりません。従って、問題行動をどうなくさせるかではなく、問題行動を通じて、何を訴えようとしているのか、何に困っているのかを読み取り、子どもを理解するという視点がとても大切なのです。

子どもが抱えている問題や乗り越えるべき課題というのが見えてきたら、それに応じた支援をしていく必要があります。

不登校の子どもへの支援

①環境支援

学校に行けなくなったのが、いじめや先生との関係、クラスの雰囲気など明らかに学校生活に問題がある場合や、子育てをするのが難しい家庭状況にあるときは、環境支援をおこないます。

子どもの話をよく聴いて、問題を特定し、関係者で話し合いの場をもち、どうなれば学校に行けそうか、一緒に問題解決をしていきます。不登校のきっかけで最も多いのは、友人関係です。特に思春期の時期は、友だちからの無視や拒否は深い傷つき体験となります。「そんな些細なことで」と決めつけてしまわないようにしましょう。先生に間に入ってもらって、お互い納得ができるような解決策がとれると、また学校に行けるようになることもあります。ただし、子どもが先生の介入を望んでいるかどうかの確認など、慎重に行う必要があります。

環境の問題が解決しなかったり、集団生活がしんどい場合は、転校したり、フリースクールに通うなど、子どもに合う環境を探すことも積極的に考えてみましょう。

家庭に、DVや虐待などの問題があるときには、抱え込まずに、外部の支援機関の協力を得て、解決していく必要があります。

②学習支援

 学校に行けない、行かなくなった背景のひとつに、学力面でのつまずきがある場合には、子どもに見合った学習支援を考える必要があるでしょう。授業についていけないことや、周りの子どもとの学力の差が大きいことなど、学力不振の場合は、学習自体が子どもにとってストレスになります。この場合は、子どもが「自分は何をやってもダメなんだ」というような劣等感を抱かないように、特別な配慮による授業の方法や、家庭で授業についていけない部分を補うことができる勉強方法を考える必要があります。

③発達障害支援

不登校の背景に、発達障害がある場合もあります。例えば知的な遅れのないASD(自閉スペクトラム症)の場合、周囲に気づかれにくいことが多いようです。特定の科目や分野でつまずきを乗り越えることが難しいことや、集団生活が苦手、生真面目さからいじめやからかいの対象になってしまう、クラスの騒々しい状態に耐えられないなど、学習や対人関係、行動面での困難が見られ、不登校に至ることもあります。

こうした場合は、周囲の理解を得て、子どもの特性に見合った環境を整備することで、問題行動が解消されたり、得意な分野を伸ばすようなサポートをすることで、いきいきと動き始めたりする場合が多いものです。発達障害の傾向があっても、その子に合った適切な教育を受けることができれば、社会の中でも自分らしく活躍することができます。

④休息支援

頑張りすぎで疲れてしまった子どもには、休息が必要です。これまで優等生だったのに、急に成績が落ち、勉強に対する意欲がなくなった。身体症状を訴えるようになり、学校に行っても保健室に行くことが多くなった。当り障りのない友達関係は築けるが、親友などの深い二者関係を築きにくいなどのサインが見られます。

良い子タイプの子どもは、友達関係においても、周囲の期待に合わせてばかりで疲れてしまったり、浮いてしまったりしがちです。このようなときには、子どものエネルギーが急低下しているので、休息が最優先となります。子どもの欲求や感情をできるだけ出せるように関わっていく支援が必要でしょう。

⑤専門的支援

些細なことをきっかけに、極度に緊張したり、パニックを起こす。感情のコントロールが難しく、暴力をふるったり、物を壊したり、一度不安を感じると感情が溢れ出すように泣きわめいたり、不安を訴え続けたりする。あるいは、鬱状態、不眠、摂食障害など、さまざまな症状が出るというときには、専門家による支援を受けることをお勧めします。 

これらの状態は、子どもが何らかの心の問題を抱えているために、登校どころではないという場合です。まずは、子どもの抱えている問題を理解し、極度に緊張している状態を少しでも楽にしてやることが先決です。一時的に薬の力を借りるというのも、心身の負担を減らすことにつながります。

⑥自己コントロール支援

元気があり体力もあるものの、学校に行かずに、家出、外泊、喫煙、飲酒といった問題行動や寝食を忘れてゲームにはまるなどの行動が心配される場合もあります。親や学校の先生との関係は良くないけれども、友達との関係は良く、友達の家を転々とすることもあります。

頭ごなしにやめさせようとするだけではなく、まずは、子どもの話を聴く姿勢を見せ、子どもと向き合いながら、自分の気持ちや行動を言葉にすることを促しましょう。本人の価値観にも耳を傾け、気持ちを理解する努力をしましょう。その上で、やっていいこと悪いこと、許せることと許せないことの区別やその理由、そして心配していることを伝えましょう。大人でもそうですが、子どもの欲求のコントロールは一筋縄ではいかないものです。根気強く、長期的視点で関り続けることが重要です。

⑦生活リズムの獲得支援

不登校の子どもたちにとって、夜は、多くの人が眠りにつき、学校にも行かない時間ということから、安心できる時間帯といわれます。そのことから、しばしば昼夜逆転がみられます。就寝時間の乱れは、しんどさの一つの目安とも言われます。このようなときには、無理に布団から引きずり出そうとするのはNGです。ゆっくりと静養できるよう援助しながらも、なるべく規則正しい生活ができるように工夫してみましょう。

他にも、部屋が汚い、洗面や入浴をしない、着替えないなど、生活習慣が変化しがちです。食事が不規則になり、食事にも出てこない、部屋の前に運ぶしかないということもあるでしょう。

不登校の子どもが、その状態を乗り越えていくのには、本人が自分自身の課題に向き合っていくことが重要ですが、自尊感情や自己肯定感がなにより必要となるでしょう。自尊感情が下がっていることから、自分の行動や選択に自信が持てなかったり、他人の評価が気になったり、学校にいけない自分を必要以上に責めてしまったりしがちです。それを乗り越えるには、周りの助けが不可欠です。それには、家族や学校関係者、友人らが、その子に関心を持って、関わり続けることが重要です。不登校という今の状況を丸ごと受け止めてもらい、何気ない普段の生活の中で、家族と会話をする、一緒に笑うことなどを通じて、自分が大切にされている、尊重されていると思えて初めて、子どもたちはエネルギーを蓄え、次の一歩を踏む出す力を発揮することができます。

しかし、子どもをサポートする親も様々なストレスを抱えることでしょう。不登校の子どもに寄り添うことは大変なことです。親も何らかのサポートを得られる場をみつけて、親自身が楽になることが、子どもの不登校においても重要なことです。

フェリアン大阪・京都では、不登校の子どもとのカウンセリングを通じて、取り組むべき課題と向き合い、こどもが本来持っている力を発揮しながら、自分らしく人と社会とつながって生きていくお手伝いをしています。同時に、子どもが学校に行けなくなって苦しんでいらっしゃる保護者の悩みに寄り添い、どういう関わりをするのが子どもにとって良いのかを一緒に考えていきます。

ひきこもりいじめトラウマ HSC のページもご参照ください。

<参考文献>
FLC21子育てナビ⑩『不登校との付き合い方』村本邦子・渡邉佳代(2005)三学出版
『不登校をプラス思考でのりこえる』原田正文(2007)健康双書
『不登校 その心もようと支援の実際』伊藤美奈子(2009)金子書房
『不登校臨床の心理学』藤岡孝志(2005)誠信書房

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