カウンセリング

社交不安障害(対人恐怖症)の方へのカウンセリング

フェリアン大阪・京都では社交不安障害(社会不安障害・対人恐怖症)で悩む方へのカウンセリングを行っています。

程度の差はあれ、人前で話したり、初対面の人に会うときには緊張するものです。また、「人からどう思われているか?」ということが全く気にならないという人は稀だと思います。しかし「社交不安障害」になると、人前で失敗するのではないか、恥をかくのではないかという不安が強くなりすぎて、人の集まりを避けたり、ひどい場合は家から出られなくなったりして、生活が成り立たなくなってしまうことがあります。

生涯のうちに7人に1人が、社交不安障害にかかると言われています。10代半ばで発症することが多く、発症頻度は男女では、ほとんど差は見られません。

社交不安障害チェックリスト

  • 人前で自分が何かを言ったり行ったりすることによって恥ずかしい思いをするのではないかという強い恐怖がある
  • 失敗することや人から見られること、評価を下されることがいつもとても怖い。
  • 恥ずかしい思いをするのではないかという恐怖のために、やりたいこともできないし、人と話をすることもできない。
  • 人と会わなければならないときは、その前に何日間も何週間も悩む。
  • 知らない人と一緒にいるとき、あるいはその前に、顔が赤くなったり、たくさん汗をかいたり、震えたり、吐きそうになる。
  • 学校行事や人前で話す状況など、人と関わる場を避けることが多い。
  • 以上の恐怖を追い払うために飲酒することが多い。

(米国国立保健研究所)

以上は、社交不安障害を見つけるためのチェックリストです。いくつか、当てはまったからと言って社交不安障害であるというのではなく、その程度が問題となります。

社交不安障害の本質は、人と関わることそのものよりも、「変な人」「つまらない人」「面白くない人」など、人からネガティブな評価を受けることへの不安です。

不安に直面すると、誰にも、動悸がしたり、声が上ずったり、手が震えたりするなどの不安反応が起こります。これは、人や動物が危機にさらされたときに起きる、「闘争か、逃走か」という生体防御反応(生き延びるための反応)です。脅威に対して、戦うか、または逃げるかというとき、心拍数が増え、血圧が上がり、筋肉が緊張し、汗が出ます。これ自体は、脅威に備える自然な反応で、短期的に起こり、危険が去ると消えます。

しかし、社交不安障害の人は、人からネガティブな評価を受けることへの過剰な不安から不安反応が生じやすいばかりではなく、声が上ずる、赤面する、震えるなどの不安反応が実際に生じることで、相手からネガティブな評価を受けるのではないかという不安がさらに強まってしまいます。こうして不安がますます強化され、人からの評価が気になるという悪循環に陥ってしまい、そのような反応が起きる場面や場所、行為を避けるようになるのです。

社交不安障害の原因は?

社交不安障害の原因は、神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなどのバランスの崩れや不安や恐怖にかかわっている脳内の扁桃体の活動異常が関与している可能性があるほか、社会的状況における認知の歪み、社会的スキルの欠如などが指摘されています。

発表場面で笑われたり、声がおかしいと言われたり、いじめなどの経験がきっかけとなっていることもしばしばあります。

思春期に対人緊張を意識しはじめ、学生時代には緊張場面を避けてやり過ごしていたのが、社会人になって避けることが難しくなり、社会生活に支障をきたすようになることが多いものです。

緊張や不安症状が出る場面

社交不安障害の人は、電車の中や電話対応、サインする場面など、特定の場面のみで不安症状の出る「非全般性」と、人と接するあらゆる場面で症状が出る「全般性」に分かれます。

周りの人に相談しても「考えすぎ」「気の持ちよう」「そのうち平気になる」など言われ、性格の問題として片付けられてしまうことが多く、本人は長年にわたって深刻な悩みを抱え苦しんでいるケースがみられます。

以下は、不安や緊張をする場面の代表的なものです。

人前で何か発表することに、極度の苦痛を感じる(スピーチ恐怖)

自己紹介や多くの人を前にした挨拶の場面などで、社交不安障害の人は頭が真っ白になってしまい、しどろもどろになり、何を話しているかわからなくなり、以降、人前で話すことを避けるようになります。

会社などでかかってきた電話に出るのが怖い(電話恐怖)

人との会話はできるのに、電話だと相手の反応が見えないため、恐怖を感じ、舌がもつれたり、声が上ずり、電話を避けるようになります。

人前で字を書こうとすると、手が震える

クレッジトカードのサインやホテルのチェックインのときなど、人前で字を書く場面で、周りの視線が気になり、手が震えます。

誰かと一緒だと食事ができない(会食恐怖)

自分の食事の仕方が人に不快感を与えるのではないか、吐いてしまうのではないかと気になり、人がいると、リラックスできず、味わって食べることができません。

人に見られていると、何か持った手が震える(視線恐怖)

会社でお客様にお茶を出したり、名刺を交換したり、会議で書類を配るなど、人から注目されていると思うと緊張して手が震え、お茶をこぼしたり、書類を落とすこともあります。それが嫌で会社を辞める人もいます。

人との関係性においては、まったく知らない初対面の人よりも、少しだけ知っているようなクラスメイトや、同僚などと接するときの方が、不安や緊張感が高まりやすいこともよくあります。仕事上の要件などの話はできても、雑談となると何を話していいのか分からなくなってしまいがちです。

社交不安障害を克服するには?

社交不安障害を乗り越える方法として、以下のようなものがあります。

薬物療法

社交不安障害の人が感じる耐えがたい緊張や不安を和らげるために、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や抗不安薬を用いることもあります。フェリアンでは、お薬が必要な方には病院を紹介します。

心理療法

認知行動療法

社交不安障害の人は、ある出来事に対して偏った考えやとらえ方(自動思考)をしているために、回避行動をとってしまっています。

例えば、学校で自己紹介をしたときに、クラスメイトがこそこそ話をして笑っていたという場面で、実際は、全然関係のない話をして笑っていたかもしれませんが、自分の言動がおかしくて笑われたととらえて、学校に行きたくなくなってしまうということがあります。

その場合、「自分の話し方がおかしくて笑われた」という思い込みや考え方の癖(自動思考)に注目し、他のとらえ方「たまたま他の話をして笑っていただけだ」と考えることで、行動を変える方法です。

★暴露療法(エクスポージャー)

不安な場面を避けていると、どんどん恐怖は大きくなります。そこで、不安を感じる苦手な場面にあえて身をおき、一番不安の低い状況から、だんだんと不安の高い状況へ段階的に慣れていくという療法です。

呼吸法やリラクセーション法などを練習し、不安や緊張をコントロールしながら、これまで避けていた状況に身をおいて、不安な場面に少しずつ慣れていき、成功体験を積み重ねることで、克服していきます。

★過去の傷つきからの回復

最初に出会う対人関係とも言える親との関係で怖いと感じていた家庭環境や、過去に起きたいじめ、対人関係のトラブルが、社会不安障害の背景にある場合がしばしばあります。このような場合は、過去の整理と傷つきからの回復をサポートします。

社交不安障害を抱えている人は、この病気のせいで、大切なチャンスを逃したり、自分の能力を発揮することができないことがしばしばあります。自分の力だけで、自然に治ることは難しく、長期にわたって悩み続けている方も少なくありません。

フェリアン大阪・京都では、さまざまなカウンセリングの方法を組み合わせて、社交不安障害に悩んでいる方が、今まで苦手で避けてきた場面に一歩を踏み出す勇気がもてるよう、支えていきます。

参考文献 水島広子(2010)『正しく知る不安障害』技術出版社

ページトップへ戻る