トピック

うつ病からの回復のために/窪田容子

うつ病は、15人に一人が経験するほど身近なもので、誰でもなる可能性があります。

◇きっかけ

失恋や離婚、死別など、大切な人との別れなどの喪失体験や、トラウマ(DV、事故、事件)が引き金となることもあります。仕事が忙しい、残業が続くなどの過労や、職場やママ友、パートナーとの人間関係がうまくいかないなどの、ストレスの積み重なりが原因となることもあります。

一方で、結婚、出産、昇進、家の新築などが原因となることがあり、マリッジブルー、マタニティブルー、昇進うつ病、引っ越しうつ病などと言われています。おめでたいこと、嬉しいはずのことが原因となるのはなぜでしょうか。これらの出来事は生活上の大きな変化を伴うからです。人は、変化に適応するのにエネルギーを必要とします。うまく変化に適応できなければ、うつ病になってしまうことがあります。(なお、マタニティブルーは、ホルモンの変化も影響しています。)

また、子どもの時代の不適切な養育環境(虐待されていた、子どもらしくいれなかった)は、うつ病のリスクを高めます。

◇症状

うつ病のサインには、以下のようなものがあります。

感情:ゆううつ。悲しみ。不安。焦り。いらいら。空虚感。喜びが感じられない。

思考:集中力、決断力、意欲、興味の低下。罪や恥の意識。自責。自信が持てない。自分への失望。将来への悲観。堂々めぐり。

身体:睡眠障害(寝付けない。夜中に何度も目が覚める。早朝に目覚めてしまう。時に過眠)。疲労感。めまい。手足のしびれ。食欲不振(時に過食)。性欲の低下。身体の痛み。

行動:不活発。能率低下。ミスの増加。人を避ける。学校や仕事の遅刻、早退、休みが増える。飲酒量の増加。自殺企図。

いやなことや悲しいことがあると、落ち込んだり、ゆううつになったり、寝付けない日が数日続くことは誰しもあるでしょう。しかし、上記のサインが2週間以上継続するなら、うつ病の可能性があります。なお、ゆううつ感は意識されず、体の不調だけが意識されている場合もあります。

◇回復のために

回復のために役立つことは、その人や病状によって様々ですが、以下にあげたことは、役に立つことが多いです。

・十分な休養をとりましょう。

心の中から、「自分はなまけているだけだ」「なんて弱い人間なんだ」「周りに迷惑をかけているから、もっとがんばらなければ」などの声が聞こえてくるかもしれません。しかし、うつ病の時には、休養をとることが自分の一番大切な仕事だととらえてみましょう。

・なるべく規則正しい生活をしましょう。

朝は、カーテンを開けて、お日さまの光を浴びましょう。

できれば、3食栄養バランスよく食べましょう。特にタンパク質や、野菜を摂るようにしましょう。

・ゆったりとできて、心地よい時間を過ごしましょう。

好きな音楽をかける。アロマのオイルをたく、手芸をするなど、気持ちがほっとすることをしてみましょう。

・できれば体を動かしましょう。

外に出る元気がある日は、買い物や散歩に出かけて、軽く体を動かしましょう。

家の中で、ヨガやストレッチをするのもいいですね。

・避けることも必要です。

今は、苦手な人や、しんどい会合など、嫌な刺激からはできれば距離をとりましょう。避ける、逃げることが必要な時もあります。回復を目指すことを優先しましょう。

・周りのサポートを得ましょう

信頼できる人に、気持ちをきいてもらいましょう。やりづらくなっていることは、手助けを頼んで、サポートしてもらいましょう。

・カウンセリング機関に行ってみましょう。

うつ病の回復に、認知行動療法が役立つことは実証されていて、厚生労働省も推奨しています。症状が軽いうちの方が回復しやすいですので、うつ病のサインが出ていれば、それを早めにキャッチし、ためらわずにカウンセリングを受けてみましょう。

休養や服薬でうつ病が回復しても、同じ環境に戻ったとき、同じ思考パターン行動パターンをしていれば、再発してしまうことがあります。同じ環境または似たような状況に出会っても、うつ病にならないように、自分自身の思考パターン、行動パターンを見直し、ストレスとの上手な付き合い方を身につけることは大切なことです。

うつ病の予防や再発防止にも、認知行動療法は役立ちます。

フェリアンでは、薬による治療が必要な方には、病院を紹介いたします。その場合は、通院を継続していただきながら、カウンセリングで回復を目指していくことになります。

(2015年1月)

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