エッセイ
新しい手帳/津村 薫
2017年の手帳が販売され始めている。1月開始のスタイルだけでなく、9月開始、10月開始など秋スタート版もある。
「年」区切りか、「年度」区切りか、どちらの使い勝手が良いのか常に迷うが、メーカーによってもスタイルが微妙に違う。私はここ数年、秋スタート版を使うことが多い。来年、再来年と早めに講演・研修予定が入ることが多いので、早めに切り換えないと、手帳の書き写しが面倒なことになるためだ。
買い物に出てゆっくり選ぶ余裕がないので、ここ10年近くはネット購入していることが多かった。今年は少し街に出る機会があるので、ふらりと文具売場を覗くことが何度かあったけれど、なかなか決めきれず、「早く決めなアカンなー」とぶつぶつ思っていた(笑)。
かなり以前はシステム手帳を使っていた時代もあったが、今は使わない。毎年の変化を楽しむことにした。いかにもビジネスといった感じのものも使わない。ちょっと少女趣味な一面があるので(赤面)、ビジネスにも対応できる可愛いものという路線を選ぶ。
色も毎年、好みの赤系になる。サイズも大きくA5版レベルがお約束。予定をぎっしり書き込むために、小さなものでは厳しい。小さな字もどんどん見えなくなっているし(笑)。
講師依頼状はすべてきちんといただき、事務所も自分自身も日程順にファイルに綴じているが、この手帳がなければ、夜も日も明けない。最近は年のせいか物覚えは一段と悪いので、丁寧に手帳で確認しておく。手帳のメモの仕方も課題がまだまだあるような気がする。完璧はないのだろうけれど、もうちょっと有能に使いたいなと反省点が多々。
予定を間違えたりしないように、シールで色分けもする。赤は講師、青は職場の会議など、黄色は移動、そして緑がプライベートな用事というふうに。少し前に同業者仲間と手帳の話をしていたら、やはりシールで色分けしていると聞いて、「みんな工夫しているんだなー」としみじみ思った。予定を間違えないように、こういう時はこんなふうにしていると情報共有する時間は、仕事を頑張る仲間同士とのエールの交換の時間のようで楽しかった。
同僚たちの手帳もさまざまなものがあって、ひとつとして同じものを選んでいないから面白い。手帳も含めて鞄や靴、洋服をこんなふうに選んだとか、こう使っているという話は雑談の時にちらりとする程度だが、これも仲間の人生の一部に触れている気がして、みんな頑張って生きているなと尊敬の思いや同僚愛?のような思いが湧く。
さて、今回の私の手帳は、10月始まりの赤い手帳。表紙にはムーミンのミイ。わりと好きなキャラクターだけど、手帳など身の回りに持つのは初めてかもしれない。キャラクター手帳そのものも、もしかしたら初めてかもしれないと思う。遊び心はあるけどシンプルなので、これならいいかもと思った。
ムーミンの公式サイトにこんな紹介がある。
「ちびのミイは、混乱するような状況にも全く動揺しません。事実、人生はもっとめちゃくちゃに散らかっている方が、刺激的で良いとさえ思っています」
http://moomin.co.jp/character/little-my
なんだか頼もしいわ。そんな器がほしい小心者の私。 2017年の年末まで、ミイとおつきあい。
来年の私が、少々とっ散らかっても動じずに楽しめますように。
(2016年9月)