エッセイ
連休明け。/津村 薫
「忙しそうですね」「いつ寝てるんですか?」「お休みってあるんですか?」と尋ねられたことが何度もある。講演・研修本数が多いのに、本も出している、原稿も書いている、メールのやりとりも頻繁にしている、時間をどんなふうに使っているのかと不思議に思われるらしい。
寝る時間はある。私はそもそも、夜更かしが大の苦手の朝型。日付が変わるまでにはベッドに入る習慣があり、仕事が溜まっていれば、むしろ早寝して、翌朝5時台に起きて取り組む方がずっといいと考えて、そうしてきた。実際、夜よりは多少、頭が冴えているし能率も良い。寝ないという選択肢はなかった。そんなことをしたら体がもたない。元気でなければ良い仕事はできない。しっかり寝てバランス良く食べて運動するが基本。それが持論だった。
でも、この年度末から新年度以降、寝る時間がなくなるというくらいの忙しさを体験した。寝ても覚めても仕事が山積している感じで、「あれもやらなくっちゃ」「あっ、これもだ」の繰り返しだった気がする。12時を過ぎるのはもちろん、2時、3時という、私にとってはありえない時間帯の就寝が続いた。
それはフェリアン設立に伴う膨大な作業で、皆でわいわい取り組んだ日々は楽しくもあり、充実していたのだけど、寄る年波には勝てない。これは今の時期で良かったとしみじみ思った。10年後なら、もうやれない(笑)。
窪田が既にエッセイで書いているように、大変な作業が続く毎日ながら、それぞれの力がそれぞれの得意分野で発揮できた時期でもあり、それは本当に面白い日々だった。いろんなメンバーがいるということは、その数だけいろんな力が活かせるということだ。あらためてチームで仕事をすることの良さを実感した。
まだまだ「隅々まで落ち着きました」とは言えないが、新年度からスタートを切ったフェリアンは、これまでご縁があった方たちに支えられ、活動できている。これからのプロセスもきっと、みんなの力が活かされ、いきいきとしたものになってゆくのだろう。楽しみだ。
そんなこんなで迎えた連休は、ようやく私の休日となった。大阪に出てきてくれた友人と会ったり、本を読んだり、近場でウィンドウショッピングを楽しんだりと、のんびりと近場で過ごした。ずっと仕事モードだった心身が少しほぐれた感じを持った。
もうすぐ、講演・研修で飛び回る日々が始まる。体調を整えて備えておこうと思い、マッサージに通ったり、ストレッチや運動をしたり、食生活に気をつけるようになってきた。渦中の時は、自分のことなど後回しになってしまうもので、尋常ではない日々だったので、仕方ないが、自分を置き去りにする状態が続き過ぎれば問題だ。
体というのはすごいもので、きちんと不調を教えてくれる。それまでよく無茶につきあって頑張ってくれたものだ。それをキャッチして動いた私自身のことも存分にホメてやらねばと思う(フェリアンの社風は自画自賛、笑)。
さてさて、私の心身のお休みも終わり、またスタートを切っている。仲間たちの頑張りにも刺激を受け、学びにできれば。
実りある忙しさを楽しむ日々を元気に送っていきたい。
(2014年5月)