エッセイ
Felien(フェリアン)−あたたかなつながりを感じて/窪田容子
この春、フェリアンが誕生した。フェリアン(Felien)とは、 フランス語のfelicite(幸せ)、lien(絆、つながり、縁)を合わせた愛称で、「人生が、あたたかいつながりによって、幸せなものになるように・・・」という願いを込めて名づけたものだ。
新しい組織を立ち上げるのは、本当に大変な作業だった。それでも、仲間がいてくれたからこそ、ここまで歩んでくることができた。冷え込んだ冬の日、まだエアコンのついてないフェリアン大阪で、小さな電気ストーブを囲みながら、これからのことを語り合った夜がある。困難もあったが、遠くない時に、こんな時間が懐かしい思い出になるという確信はあった。そして、そう思えるような未来を創り出していこうよと語り合った。フェリアンが開設してまだ1ヶ月だが、もうこれらの日々が、懐かしい素敵な思い出へと変わりつつある。
パンフレットの下案を元に、意見を出し合っていた夜。はさみとノリを取り出して、チョキチョキ切ったり、貼ったりしながら、こうしようか、やっぱりこの方が良いよねと、いきいきと楽しそうに話している仲間の姿があった。その姿を見ていると、私もとてもうれしくなって、一緒にわくわくしながら話に加わった。後で、「あの時のようちゃんの楽しそうな姿がとても嬉しかったんよ」と言ってくれた。スタッフを見ている私、そんな私を見てくれているスタッフがいてくれること。誰かの喜びが、また他の誰かの喜びにつながること。フェリアンの名の通りの、このあたたかなつながりが嬉しかった。
この大変な作業を通して、私はフェリアンの女性の、素晴らしい能力と情熱に驚嘆した。いろいろなことに気付いてくれて、細かくて膨大な事務作業を手際よくこなしてくれたり、語学が堪能で、Felienの名前をつけるときに、知恵をくれたり、フェリアン大阪をリフォームして、見違えるような素敵な空間に変身させてくれたり、パンフレットの作成を一手に引き受けてくれたり、ホームページの作成をとりまとめてくれたり・・・
特に役割分担の話し合いもしなかったのに、この領域は誰が得意なのかということが、お互いに見えてきて、それぞれが得意なところを活かしてできることをした。そして、それぞれの得意なことを活かして、組織に貢献できることは素敵なことだと実感した。誰の力が欠けてもここまでくることは出来なかったと思う。疲れたな、しんどいなと思うときに、不思議なくらいにタイミング良く、スタッフから嬉しいメールが届き、元気をもらったことが何度もあった。
初めての会議の日は話し合うことがたくさんあった。どんな女性達の集まりにしたいか、どんな組織にしたいのか、フェリアンでそれぞれがこれからしたい活動、物事の決定のしかたなど。
それぞれが、いろいろな気持ちを話してくれた。私自身が話したのは、フェリアンで、それぞれがやりたいことを応援したいし、他のところでやりたいことも応援したいこと。気持ちをためずに話ができることを大切にしたいこと。みんなが一枚岩で同じ方向を向いている必要はなく、ぶつかることがあると思うし、それを恐れなくても良いと思うこと。人としての弱さも含めて理解し許し合った上で、弱さを成長させながらやっていけたらいいなと思うこと。 縁あってフェリアンに集った女性たち。それぞれがフェリアンを活用しながら、願いを叶えていけたらいいなと思う。
平日は夜遅くまで、そして休日も出てきて、いろいろな仕事をこなしてくれたスタッフがいる。彼女の貢献なしには、フェリアンの開設はあり得なかった。いくら感謝してもしきれない、いくらお礼を言ってもいい足りないくらいの彼女に、会議の終わりに花束を手渡して、お礼の気持ちを伝えた。喜んでくれた彼女を見て、私もなんだかほっとして嬉しい気持ちでいた。そのとき、別のスタッフが、内緒で用意してくれた花束を、手渡してくれた。思わず涙した。
「人生が、あたたかいつながりによって、幸せなものになるように・・・」との願いが込められたフェリアン。その名の通り、私たち自身が、あたたかいつながりを得て、幸せを感じられる場でありたいと思う。
そして、フェリアンとご縁のある人たちが、あたたかいつながりを得て幸せな人生へとつながっていけるような、そんな場を創り出していきたいと思う。 フェリアンを、どうぞよろしくお願いいたします。
(2014年5月)