エッセイ

お絵描き/くぼたようこ

心静かに何かに没頭できる時間が欲しくて・・・

今年、お絵描きを習い始めた。
絵の具で絵を描くのは、中学の授業以来なので数十年ぶり。
先生に、「何を描きたいの?」と尋ねられても、「うーん、何でしょ?」。
ただ絵を描きたいだけで、何をモチーフに描きたいかも分からないところからのスタートだった。

初めて描いたのは、初めて北アルプスの山に登り、初めて山小屋に泊った翌朝に、蝶ヶ岳から眺めたご来光。
ただ、手元に集中する穏やかな時間が心地よかった。

その後、夫の実家で飼っていたわんこを思いながら、ラブラドール犬を描いた。
義父母の旅行中はうちで預かったり、キャンプに連れていったりして、ほんとにかわいい子だったな。

5月の連休にしまなみ海道をサイクリングしたときに眺めた海の夕景を描いたり、夏休みに泊まった山荘の絵を描いたり。
思い出を描くのは楽しい。

楽しかった時間を写真に撮り、その時間を思い出しながら絵を描く。
これっていいかも。
自分が何を描きたいのかが見えてきた。
家でも描きたくなって、画材を手に入れすき間時間に描いている。

フェリアン設立の頃に、仕事とプライベートで数年後のありたい姿を思い浮かべて描いてみようというワークをしたことがあった。
私が、プライベートでのありたい姿で描いたのは、一人静かに絵を描いているイメージだった。
その時は、なんだかちょっと不思議な気がしたけれど・・・

あれから10年。
その時が来たんだなぁと思う。
物事にはタイミングというものがきっとあって、心の片隅で大切にしていると、その時が来てくれたりするんだなぁと思う。

そして今、時々浮かぶ別のイメージがあって、またしばらく心の片隅で大切にしておきたいと思っている。

(2024年11月)

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