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更年期 新たな夫婦関係を考える/森﨑 和代
女性の更年期とは、閉経(平均50歳~51歳)をはさんだ前後10年間のことをいいます。また近年、男性にも更年期の時期(30代後半から70代)があり、ホットフラッシュや疲れ、肩こりなど女性の更年期と非常によく似た症状に加えて、集中力の低下、鬱っぽい、わけもなく怒りがこみ上げるなど、精神面での変化も更年期症状として認識されてきました。
50歳前後といえば仕事や経済的なこと、また子どものこと、親の介護問題など、自分だけではなく家族や周囲の状況が変化し、人生の中での問題が一番重なりやすい時期といわれます。
男女ともに更年期に入ると、加齢による心身の衰えやホルモンの減少で心身の不安定さが加わります。そのため冷静さを欠いたり、相手を思いやる余裕がなくなるなどして、自分のつらさを相手にぶつけてしまい、夫婦関係が悪化するようなことも起こりがちです。
また、夫婦間の長年のコミュニケーションの蓄積やずれが、夫婦関係に影響することもあります。心身の不調や不定愁訴の多い更年期には、お互い相手への配慮を欠いたまま、更年期が夫婦関係に悪影響を与えることもあるのです。
一般的に、ただ話を聴いて共感してほしい、いたわりの言葉をかけてほしいと妻は思い、一方夫は、何をしてほしいのか現実的な答えを求める傾向があるといわれます。このようなコミュニケーションのずれを感じ、イライラして相手を責めたくなった時には、まず、ふ~っと口から細く長く息を吐き、鼻からす~っと新鮮な空気をたっぷり吸って深呼吸をしてみましょう。深呼吸をすることで、血液の巡りやリンパの流れが良くなり精神が落ち着くという効果があります。
夫婦の間に居心地の良い状態をつくるには、より良いコミュニケーションを意識してみることが役立ちます。コミュニケーションを通じて良い関係を築くためには、「私は」を主語にして自分の気持ちを伝える、「ありがとう」「助かるわ」「ご苦労さま」など、感謝の言葉や労いの言葉、肯定的な表現を意識して口に出すことを心がけましょう。
フェリアンでは、夫婦やカップルがより良い関係を築くための個人カウンセリングや、夫婦・カップル同席による夫婦・カップルカウンセリングを行っています。
更年期は、自分の変化を受け入れ見つめなおす時期でもあり、また夫婦にとっても新しい関係を築く時期でもあるようです。人生の仕切り直しのこの時期に、新たな夫婦の関係を考えてみませんか。
参考文献:野末悦子著『続・いい女の更年期』主婦の友社:『更年期120のヒント』日経BP社 (2014年8月)