エッセイ

150歳パーティ/窪田容子

10年前、家族5人の年齢をたして100歳になったのを祝って、100歳パーティをした。その時、次は150歳パーティをしようと、10年後の自分と家族に宛てて手紙を書いた。

あれから10年が経ち、家族の年齢をたして150歳になった。予想通りのあっという間の10年だった。10年前に書いた手紙をどきどきわくわくしながら開封。

末の子は、字が書けないほど幼かったので、家族の絵を何枚も描き、おしゃべりしたことを私が文字に残した。「お誕生日が来たら遊戯王とポケモン買ってね」とか、「雪だるまつくってん。かぁしゃん、外で一緒に雪だるま運んでんねん。」などのメモがある。中の子もまだ保育園児。私に、「かーさんへ。よる、てまくら、かしてくれてありがとう!10ねんごは、じぶんでねれるから、てまくら、いらないよ」と書き、家族それぞれにも絵とメッセージを書いている。上の子は、小学生。「今の自分は元気でうきうきしています。ケーキを母さんがたおすじけんや、100本ローソクを立てて、ろうがたれるじけんやたいへんでした」と。そして、それぞれへのメッセージと、5人で食卓を囲んでいる絵と、布団を並べて寝ている絵を描いている。夫と私の書いた手紙も読んだ。10年後の予想は、ちょっと外れたところもあって、なんだかおかしい。

さて、150歳パーティのケーキを食べた後は、10年後の200歳パーティに向けて、自分と家族に宛てて手紙を書いた。シーンと静まって、みんな熱心に書いているのが印象的だった。

10年経って、幼児期児童期の子どもがいる家族から、思春期青年期の子どもがいる家族へと、家族のライフサイクルは移行した。10年後は、子どもが全員成人していて、家族のライフサイクルは、また次の段階に移行している。10年後もまたあっという間にくるのだろう。このパーティは、さらさらと流れていく時間の中で、少し立ち止まり、家族で過去を振り返り、現在を確かめ、未来に思いをはせるよい機会なのかもしれない。

10年後、家族もフェリアンのスタッフも、みんながそれぞれの人生を愛せていたら嬉しい。そして、自由と平和が守られた世の中であることを心から願っている。

(2017年7月)

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