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新型コロナウィルスに対する不安への対処について/下地久美子
新型コロナウィルスの流行により、私たちの生活は大きく変わりました。3密を避けるため、人との交流も減り、行きたい場所にも行けず、ひきこもりがちになると、孤立感や心細さを感じるのも無理はありません。感染予防のためにマスクを着用し、消毒に神経を使う日々は、ストレスが溜まりやすいのではないでしょうか。
先日、ようやく緊急事態宣言も解除され、少しずつ日常を取り戻しつつあるものの、ちょっとでも油断すると第2波第3波に見舞われる可能性もあると言われ、なんとなく落ち着かない日々が続いています。
自粛生活が長引けば、仕事のこと、経済のことなど、今後の生活がどうなるのか、先の見えない不安にさいなまれることもあるでしょう。
医療や福祉、教育などに従事していたり、社会の基盤を支えるべく最前線で働かれている方たちは、感染の恐れと共に、感染させるかもしれない不安と隣り合わせの中で、一層の不安がかき立てられることもあるかと思います。
これらは、不安な状態に陥ったときに、程度の差こそあれ誰もが感じる自然な反応です。不安があるからこそ、感染予防に気をつけたり、情報を入手し身を守ることができるのです。
ただし、ウィルス感染への心配が募り、過剰な不安にとらわれたり、無力感に襲われたり、恐怖からパニックになったり、些細なことで攻撃的になったりしてしまう場合には、気持ちを落ち着ける方法を試してみてはいかがですか。
強い不安に悩まされたときに役に立つ対処法をご紹介します。
① 呼吸法
不安を感じると、呼吸が早く浅くなりがちです。緊張感から体に力が入り、さらに不安を強めてしまいます。そういう時にはゆっくり呼吸をしてみましょう。自分の呼吸に意識を向け、1、2、3、4で息を吸って、5、6で息を止め、7、8、9、10と細く長く息を吐きだしましょう。
② コンテナー
不安な気持ちを感じたり、言われたことが耳から離れなかったり、払っても嫌なイメージが浮かんでくるときには、想像の中で、容れ物を出してきて、そこに今は関わりたくないものを入れていきましょう。
丈夫な箱でもいいですし、壺でもいいです。金庫や大きなバッグでもいいでしょう。すべて詰め込んだら、簡単に出てこないように鍵をかけたり、しっかりフタを閉めましょう。
③ 安全な場所
あなたが、ホッと落ち着く安心できる場所はどこですか?実際にある場所でも想像上の場所でもかまいません。森の中や海辺をイメージする人もいれば、誰も知らない秘密の部屋を思い浮かべる人もいます。
安全な場所が決まったら、その場所に名前をつけます。「ぬくもり」「リラックス」「私の居場所」など、どんな名前でも大丈夫です。そのフレーズを口にすると、自由に安全な場所に行ってゆっくりくつろぐことができるように練習してみましょう。
④ グランディング
「今、ここ」に目を向け、足がしっかりと地面についている感覚を意識してみましょう。他にも、周りの家具にふれ材質を確かめたり、部屋の中にある赤いものの数を数えてみたり、今聞こえる音に耳を傾けてみるのもいいでしょう。好きな香りをかいでみたり、味覚を感じることに集中してみるのも「今、ここ」に意識を向けるのに役に立ちます。
⑤ 電話やインターネットで人とつながる
人恋しさを感じる時には、電話やネットを使って連絡を取ってみてもいいですね。ズームでヨガやストレッチのレッスンを受け、それが予想外に楽しいということもあるようです。オンライン飲み会やお茶会が話題になっています。心から参加したいと思うとときはいいのですが、参加しないと付き合いが悪いと思われるのではと無理をするのはやめておきましょう。
⑥ 相談する
あなたが心配に思っていることを口に出すことは不安の軽減につながります。信頼できる人に話してみましょう。みんな頑張っているんだから、もっと大変な人もいるんだからと、つらい気持ちを押し殺さずに、「不安だ」「怖い」「つらい」と吐き出してみましょう。「こうしてみたら?」とアドバイスする人よりも、黙ってあなたの話を聴いてくれる人がいいかもしれませんね。
相談相手が見つかないときには、カウンセリングや電話相談を利用してみるのもいいかと思います。
この状況も、いつかは終わりがきます。せっかくできた時間なので、普段あとまわしにしていた片付けをしたり、時間のかかる料理に挑戦したり、好きなことに使えるといいですね。もちろん、ただ何もせずにのんびり過ごすのもいいのです。あなたの時間はあなたのものなのだから、どんな風に過ごしてもいいのです。焦らずに、自分のペースを守ることが自分を大切にすることにつながるのではないでしょうか。