エッセイ
喜びと感謝と意欲の好循環-会議にて/窪田容子
フェリアンは、講師のスタッフは外を飛び回り、今年度もすでに沖縄や島根に出向くなど、遠方への長期出張も少なくない。このため、よく顔を合わせるスタッフもいれば、なかなか会えないスタッフもいる。月に一度のスタッフ会議は、スタッフが顔を合わせる大切な機会になっている。事業や事務的なことを話し合うだけの時間にするのはもったいない。
新しい組織をともに立ち上げるプロセスを通じて、私はフェリアンのスタッフそれぞれの高い能力と情熱に驚いた。会議の場を通して、スタッフ同士がもっとお互いを知り、お互いの弱さを補い、良さを生かして、意欲をもって仕事ができるようになればいいなと思っていた。個性あふれる女性たちが力を寄せ合わせれば、きっともっと素敵な化学反応が生まれるに違いない。
最初のエッセイにも書いたが、4月は、フェリアンがスタートして初めての会議だったので、どんな女性達の集まりにしたいか、どんな組織にしたいのか、フェリアンでそれぞれがこれからしたい活動、物事の決定のしかたなどについて思いを語り合った。5月の会議では、スタッフ一人一人に、それぞれが素敵だなと思うことを伝え合った。
あるスタッフの担当だった仕事がある。そのスタッフが、実は自分には苦手で気が重い仕事だと言ってくれた。それを聞いた別のスタッフが、その仕事は苦ではないので、私がやろうかと申し出てくれた。ありがたくお願いした。苦手な人が大きな負担を感じながらするより、得意な人が負担が少なく出来るならその方がいい。ただ、ある人にとって苦手な仕事であっても、もしもその仕事がその人の成長課題となるならば、サポートを受けながら、取り組んでみるのもいい。
みんなにとって、何が得意で好き仕事なのか、何が苦手で気が重い仕事なのかを、もっとお互いに知ることが出来たらいいなと思った。そこで、6月の会議では、「私の取扱説明書」というワークを行った。自分をどんな風に取り扱ってもらいたいかを共有し合うものである。どんな風に関わってもらうと意欲が出るのか、逆にどんな関わりには意欲を失ってしまうのか。喜びや、落ちこみ、怒り、悲しみを感じるポイントはどこなのか。どんな仕事は得意でフェリアンに貢献できるのか。どんな仕事は苦手で気が重いのか。どんな強みがあり、人の助けになれるのか。どんな弱さがあり、助けてほしいのか。最後に、「ここは取り扱い注意! 」というポイントはどこなのか。
ワークシートに記入してきてもらい、紹介しあい、知らなかったことを知り、お互いを理解する機会になった。スタッフ研修は翌月にまわして、時間を延長して語り合い、聴き合った。
スタッフが、書いてくれた感想の一部を紹介したい。
皆さんのいいところだけでなく、苦手や取扱い注意点を聴くことができたのが、すごくよかったように思います。凸凹含めて知ることができると、より一層愛着や信頼が増しました。両面含めて認めて受け入れてもらえることが、内面からのやる気につながるように思いました。
自分自身のことを語るCR的な場というのも大事だなぁと実感しました。
皆さんのことが聞けて興味深かったです。そうなんだと驚く場面あり、なるほどーと納得の場面あり。私のダメダメなところも既によく理解してくれつつ、皆さんは私のことを大事にしてくれているのだと思います。あらためて感謝です。
自分を表現したり、SOSを出したり、甘えたりすることを経験して、豊かな女性に成長していきたい。
いろいろなタイプの先輩たちの生きざまを見聞きすることができ、私自身も支えられて、これからの自分を考えていけそうな気がしています。そんな風に思える人との出会いと場所があることに私も感謝です。
こんな感じで、和気あいあいと言いたいことを言い合える環境って、なかなかないなぁ~と思います。みんなと出会えてよかった~!!
また、その後、「私の取扱説明書」のワークで話したことを踏まえて関わってもらったことで、ポジティブに動けたとの声もあった。
このような声をきくと、私もとても嬉しくて、意欲がアップする。会議が終わってみんなからの感想をもらうと、次の会議のアイデアが、またポンと生まれてくる。もちろん、スタッフからの、こんなワークがしたいという提案も大歓迎である。
さて、7月の会議では、「夢を語ろう」というワークをしてみたいと思っている。フェリアンでの夢、個人としての夢。夢は語ることで、現実に引き寄せやすくなる。十人十色の夢があるだろう。その夢が重なり合う部分があれば、ペアで、またはチームを組んで協力しあって、実現していけたらいいなと思っている。
最後に、お菓子作りが好きな息子が、ここ3回ほどフェリアン会議のためにお菓子を作ってくれた。スタッフが美味しい、嬉しい、ありがとうと言ってくれたことを伝えると嬉しそうな息子。次は何を作ろうかなと張り切っている。ここにも、喜びと感謝と意欲の好循環が生まれている。
(2014年7月)