エッセイ

いきいきと活性化した組織であるために/窪田容子

今年も7月の終わりに、フェリアンで職場内研修を行った。

去年は、ストレス対処法の多重モデルであるBasic-Phをテーマにしたが、このたびは、私が2月から6月にかけて受講した組織織心理コンサルテーションをテーマにした。組織心理コンサルテーションとは、組織の中で生じている問題に対して、組織成員の無意識を含む心の動き(心理力動)と、組織ダイナミックス(システムの力動)を考慮に入れて、改善に向けた取り組みをサポートすることである。問題の背後にある組織風土や人間関係に注目し、それらを考慮した介入を通して、問題の解決、目標の達成を目指す。※

カウンセリングを通して、職場のストレスによって調子を崩した方とお会いすることは多い。個人のストレスマネジメント力を高め、対人関係を調整したり、サポートを得たり、自分自身の仕事への向き合い方や、物事のとらえ方を見直してみることは、回復に役立つ。しかし、職場における問題が大きすぎて、個人の対処力だけでは難しいと感じることもある。フェリアンには、組織の管理職対象の研修依頼もあるので、従業員が病まないだけではなく、いきいきと活性化するためにも、組織心理コンサルテーションの考え方を役立てることができたらとの思いがある。

さて、職場内研修では組織心理コンサルテーションの知識を学ぶだけではなく、いくつかの語り合いのワークを行った。フェリアンも、まだ設立して1年余りの組織であり、組織を整えている途上にある。まずは、自分たちの組織が、いきいきと活性化している組織であり続けたい。

最初に、フェリアンの理念を確認し、次に、職場内で自分が取っている非公式の役割に気づくことに取り組んだ。職場では、公式の役割以外に、非公式の役割というのがある。非公式の役割とは、その人のパーソナリティや、家族関係、これまでの経験などから、その人が無自覚なまま引き受けやすい役割である。たとえば、世話役、調整役、敵対役、静かな聞き役、助言役、感情調整役など。※ そこで、フェリアン内でそれぞれが取っている非公式に役割について話し合ったところ、悲観的に捉える役割や楽観的に捉える役割(どちらも必要である)、励ます役割、スタッフを育てる役割、事務処理や手続きを整え、やり残しがないかチェックする役割、後回しにされがちな仕事をする役割、軌道が逸れた時に修正する役割、環境を整える役割、意欲をアップさせる役割などが出てきた。それぞれが、フェリアンに必要な異なる役割を担っていることに気づかされた。

最後に、役割イメージ分析として、ひとりひとりについてのイメージを物にたとえて伝えあった。私が言ってもらったのは、錫(内面が柔らかい)、自転車(スイスイ、さわやか、しなやかで、良い方向へと軽やか)、光の度合いがいい感じの電気スタンド(しんどくならないぐらいに、テンションややる気を上げてくれる)、首からかけるきらきらメガネ(よく見えていて、流されない)、図書館(知識がある。図書館にいると落ち着く。)、水(容器に応じていろいろな形に変化できる)、スポーツ系のバック(素材が柔らかく、耐水性があり、色と形の違うポケットがたくさんついていて、機能的でフレキシブルなバックのイメージ)だった。私の一面を肯定的にとらえてくれているようで嬉しかった。みんな、それぞれがいろいろなイメージを伝えてもらって、笑顔が広がる時間となった。

お昼は、フレンチのお店で、お料理とおしゃべりを楽しんだ。心身共に健康を保ちながら、よい仕事を継続できたらと思っている。

※ 川畑直人:組織心理コンサルテーションセミナー(初級)2015資料より引用

(2015年8月)

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