エッセイ

機嫌よく、楽しく、シンプルに/安田裕子

表面はパリッと、内側はフワフワのホカホカ、その真ん中にはスパイシーなカレー味の刻み野菜の混ざったミンチ肉。ここのところずっと、ピロシキにはまっている。食べるのも、作るのも。揚げたて熱々のピロシキ。できたてをいただくのは、最高のご馳走。キッチンペーパーでくるみ、両手で包むようにして、アツッと言いながら食べる。素朴だけど、とても幸せな時。小さい頃は、その美味しさがわからなかったピロシキ。食べたい→作ろう、ということで、ホームベーカリーが大活躍。昔は、母が手でこねてパン生地を作っていたが、今は本当に便利。分業と協業でお昼に間にあわせるように作り、できたてのピロシキはご近所さんにも。

一方、クリームパンは結構難しい。パン生地の中に入れたカスタードクリームが、焼き上がり時には、なぜかウニョッとはみだしている。具(カスタードクリーム)がやわらかいためなのか、クリームをしっかり包めていなかったからなのか。実際、やわらかいクリームは扱いにくい。ということで、次は、カスタードクリームをかために作り、また、パンの成形は念入りに。さて、焼き上がりはいかに! あれ?クリームは外にはみだしてはいないのに、中に入っているはずのクリームが、なんだか減っているような。カスタードクリームがパンにしゅんでしまっているような、そんな感じのでき具合。

クリームパンの美味しい近所のパン屋さん、焼いた後でカスタードクリームを注入しているのかな?と考えつつ、さっそくチェック。でも、クリームを後で入れたような痕跡は、どこにも見当たらない。うーん、どうやって作っているんだろう、この美味しさ、やっぱりプロだわと、深く関心。ということで、クリームパン作りを極めるのはあっさりあきらめる。しかし、クリーム好きな私としては、今度はコルネに挑戦しようと、方向転換。

春先に遊びに来てくれた姪っ子。パンを作りたい!との希望があり、パン作りを実施。動物パンと、あんパンと、ピロシキと。姪は、うさぎとか、へびとか、いくつかの動物のパンを、楽しそうに。あんこを入れて成形したその周りに、ぐるりと小さなパン生地をくっつけて、お花のパンも完成。姪はご満悦な様子。私も幼い頃、母とパンを作るのが大好きだったなと、懐かしい気持ちにも。よし、次に姪とパン作りをする時は、カスタードクリームの入ったコルネを貝の部分に見立てたヤドカリパンにチャレンジしようと、ほくそ笑む。

機嫌よく、楽しく、そしてシンプルに。ここのところ、意識していること。毎日の生活は、人の生きる道そのもの。走った後は休憩が大事、走りながら/歩きながらでもお休みは必要。身体の健康はさることながら、こころの健康も大切に。心身の健康には、栄養が欠かせない。どんなふうにエネルギーを貯めて&使っていけるかな、いかに健やかでいられるかな、やりたいこと・大切なことをどんなふうに続けていけるかなと、そういうことをあれこれ考え実行しながら過ごしている、今日この頃である。

(2016年4月)

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