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タイムマネージ ―燃え尽きを防ぐ/安田裕子

多くの仕事や課題を抱え、いつも忙しくて、たくさんのやるべき課題に圧倒されるように感じており、気持ちも落ち着かず、余暇を楽しんだりする時間も精神的余裕もなく、慢性的な疲労感がある・・・・・・ やるべきことがあるのだから仕方がない、と割り切って仕事を進める必要がある場合もあるかもしれませんが、こうしたことをずっと続けているのは、あまりよい状態とはいえません。

以下の項目のうちで、思い当たることはありませんか。

1.やりたくないことはぎりぎりまで放って置く。

2.あることを引き延ばしていれば、誰かがしてくれると思う。

3.もう少し時間があれば、もっと良い仕事ができたと考える。

4.締め切りに間に合わなかったときは、人のせいにする。

5.実現できない期限を設定して、仕事を始める。

6.過重な仕事を引き受けて、忙しすぎるとぼやく。

7.仕事の期限が守れないことに対する言い訳がなくなってきている。

(中野,2012)

一見、怠け癖やさぼり癖の一端を示す内容が列挙されているように見えますが、これらの項目は、仕事や課題に溢れていてストレスフルな状況であることを示す指標とも読めます。これらの項目に当てはまる時、場合によっては、燃え尽きかねない事態であるとも言えるかもしれません。心と身体の健康状況はどのようであるか、あわせて確認してみてもよいかもしれません。

中野(2012)は、上記の項目にひとつでも当てはまる場合は、以下を実行してみるとよいと述べています。

1.予定が詰まりすぎていないかを確認し、時間に余裕をもてるように心がける。

2.現在するべきことを書き出した表(To Doリスト)をつくり、優先すべき項目としてあげた重要な仕事や課題から手をつけるようにする。

3.仕事や課題を終えれば、自分で自分に褒美を与えるようにする。

つまりは、仕事や課題に向き合ううえでの、自らの習慣を見直し改善することへの提案がなされています。これらは、時間を有効に使う方法でもあります。

ほかにも、時間を有効に使う術として、「仕事や勉強をする環境を整理する」「自分の時間を確保する」などがあげられています。「仕事や勉強をする環境を整理する」には、身の回りの整理整頓が必要でしょう。そして、「自分の時間を確保する」には、一人で集中する時間をつくる工夫や、一人の時間をもつことを家族など周囲の人に理解してもらうための働きかけをすること、などがあげられています。こうした時間のマネージメントは、ひいては、燃え尽きを防ぐことにもなるとのこと。他にも、仕事や課題を抱え込みすぎないためには、仕事や課題の引き受け方や進め方について、自分のやり方・癖を見直してみる、ということも有効でしょう。

締め切りを目の前にして、期日に間に合わないというプレッシャーから生じる不安、十分に時間をかけられなかったために満足な結果が得られなかったという自己嫌悪や抑うつ感、仕事をこなし続けなければならないことによる疲労感・倦怠感などに苛まれている状態。こうした状態があまりにも長い間続けば、ストレス過重な状況といえるでしょう。がんばってやろうという気持ちや姿勢があっても、仕事や課題に押し潰され、心身を壊してしまっては、もともこもありません。

タイムマネージメントという視点を取り入れれば、あふれる仕事や課題にさらされ続けるストレス状況を改善するうえでの、ひとつの手立てが見えてくるかもしれません。すべての人に平等に与えられている時間。その使い方を、今一度振り返ってみるとよいかもしれませんね。

<参考文献> 中野敬子(2012)ストレスのトリセツ―自分でできる認知行動療法 遠見書房

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